息子の学位記授与式はとても厳粛な雰囲気の中、整然と
執り行われた。修士課程修了者は皆二十四歳以上の大人
だしドクター取得者の中には結構な年齢の人も居て、翌日の
娘の卒業式とは全く違う雰囲気だった。
学部も入れて六年も過ごした大学を去るのに多少の感傷は
あるのだろうが息子はいたって明るく振舞っていて涙脆い私は
助かった。
研究室の主任教官にも最初で最後の挨拶も出来たのでやっと
息子の学生生活が終わったのだと実感した。
式後、久し振りのツーショット。
昼食を一緒に済ませ、息子を謝恩会の会場になっているホテル
まで送り、一路京都へ。長距離を電車で移動したのは何年振り
だろうか?本当にのんびり車窓からの眺めを楽しめた。
宿は先日ネットで四苦八苦して探し予約した京都駅直ぐ近くの
ホテル。娘を呼んで三人で夕食、楽しい一時を過ごした。
東京旅行などで時々泊まるビジネスホテルなどでは無く、今回は
大きな観光ホテル。部屋もベットも大きくゆったりしていて快適な筈
だったのだが、エアコンの設定温度が高いまま寝てしまい、夜中に
暑くて目が覚め、その後は何時もの如く寝付けず朝までウトウト。
早めに出て大学へ。地下鉄もバスも混む事無くスムースに学校に
到着。着物に袴姿の沢山の女子大生の中から娘を見つけるのは
難しく携帯で連絡を取ってやっと会える。仲良し4~5人とワイワイ
としていて、卒業式らしい厳かな雰囲気は全く無い。今時は皆こん
なかんじなのだろうか。
式が始まって学長の式辞の最中も会場を出たり入ったりする学生
が居て落ち着かないし、中にはお喋りまでしている者まで居て
何だか雑然とした式だった。
終わった後は学内のあちこちを見て廻り娘がここで過ごした四年間
を夫婦で思い描きながら少しだけ感傷的な気分に浸る。
式後の娘は学校側の用意してくれた茶話会やその後の友人達との
パーティー等スケジュールは一杯で一緒には過ごせないと云うこと
で、市内見物へ。何度も来てはいるのに全く京都の町には不案内
なのでとりあえず一番賑やかな処へ行ってみようとバスで四条河
原町へ。
三連休初日、最高気温17度の晴天とあってか、物凄い人出で休日
の原宿や渋谷の様な混み具合。
女房が以前友人と京都旅行に来た時に食べてとても美味しかった
と云ううどん屋を当てずっぽうで探していたら偶然にも一発で発見。
お昼時とあって外に列を作って並んでいたがお腹も空いていたし
他に知っている店がある訳でもないのでそこで昼食と決定。
待つ事十五分ほどで中に入れたので正解だった。
店の名は「名代 おめん」。
観光客用の店なのだろうが味は流石に京都、付け汁が薄味で
とても美味しかった。
八坂神社はあまりに派手な色合いで敬遠。世界文化遺産に
指定されている上賀茂神社は人も少なくゆっくり見ることが出来た。
女房に、今度こそ何も用事無しに純粋に観光に来ようねと出来も
しない口約束をして京都を離れた。次に行けるのは何時の事だろう。
今夜のMusik,Schumann:Kinderszenen,Kreisleriana.
Michael Gees/Klavier
2009年ライブ録音